
栄養士としてスキルアップするにはどうしたらいいのか悩んでいませんか?今回紹介する栄養士が業務効率化に使えるExcel関数を習得する事で、日々の献立作成や栄養素の計算をこれまで以上に効率的に進める事ができます。Excelの関数に苦手意識を持った方でも例題を踏まえて簡単に使えるように紹介します。SUM関数を使ったカロリーの合計計算や、VLOOKUP関数で食材情報を瞬時に検索する方法、条件付き書式による栄養バランスの可視化など、これらの便利なツールを使いこなすことで、業務の正確さとスピードを向上させてワンランクアップした栄養士を目指しましょう。今すぐ実践できる内容を分かりやすく紹介しますので、ぜひ日々の業務に取り入れてみましょう!
SUM関数とは?
SUM関数は選択した範囲の中にある数字を合計する関数です。範囲の書き方は、一度に多くの範囲を記載するSUM(A1:A100)という書き方と、SUM(A1,A3,A5,…)とセルをひとつづつ選んで記載する書き方があります。
栄養士がSUM関数を活用できる場面
栄養計算を効率化するために最も基本的かつ重要な関数が「SUM関数」です。栄養士が業務で扱うデータは、食材ごとのカロリーや栄養成分、複数の食事メニューにわたる数値など、膨大な量になります。これらを手作業で計算するのは非常に時間がかかるうえ、計算ミスのリスクも高まります。そこで、SUM関数を使用することで、食材ごとのカロリーや栄養素を簡単に合計し、正確かつ迅速に結果を得ることができます。
例えば、1日の献立に含まれる食材のカロリーを計算する際、各食材のカロリーを一つ一つ足し合わせる必要があります。SUM関数を使えば、対象のセル範囲を指定するだけで、すべての数値を一度に合計できます。栄養成分ごとの合計も同様で、たんぱく質、脂質、炭水化物など複数の栄養素をまとめて計算することが可能です。これにより、計算の効率が大幅に向上し、日々の業務時間を節約できるのです。
また、SUM関数は複数のシートにまたがるデータの集計にも対応しているため、大規模な献立データや複数の栄養成分の集計にも非常に便利です。例えば、毎週の食事メニューをシートごとに管理し、全体の栄養成分をまとめたい場合、各シートの数値を簡単に合計することができます。さらに、エラーメッセージの発生も少ないため、Excel初心者でも扱いやすく、安心して使用できます。
栄養士にとって、データを正確に効率よく管理することは業務の根幹となります。SUM関数を活用することで、業務負担を軽減し、献立作成や栄養管理の精度を高めることができるでしょう。
SUM関数使い方
=SUM (範囲)
・選択範囲内の数字を合計した結果を表示する関数
・記入方法は範囲選択(例:A1:A100)でも、カンマ区切り(例:A1,B2,C3,…)でも可
※SUM(A1:A100)であれば「A1~A100までを合計して」という意味になり、「A1+A2+A3+…+A100=」となります。
※SUM(A1,A3,A5,…)であれば「A1とA3とA5と…を合計して」という意味になり、「A1+A3+A5+…+A100」となります。
表①
表②
表①であればC2のセルに「=SUM(B2:B6)」と入っているので「コメ~油の使用量を合計して」という指示になります。
エンターを押した後の表②では、215が表示されます。
※ 215(g) = コメ100g+大根50g+鶏肉50g+醤油10g+油5g
栄養素の平均値を計算!AVERAGE関数
AVERAGE関数は、アベレージ(平均)する関数で、選択した範囲の合計をそのセルの個数で割ってくれる事で平均が出てくる関数です。範囲の書き方は、SUM関数と同じで、一度に多くの範囲を記載するAVERAGE(A1:A100)という書き方と、1セルずつAVERAGE(A1,A3,A5,…)と選んで記載する書き方があります。
栄養士がAVERAGE関数を活用できる場面
栄養士が日々の業務で、栄養素の平均値を計算する際に「AVERAGE関数」は非常に役立ちます。例えば、1週間分のメニューのカロリーや栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物など)の平均値を算出することで、全体の栄養バランスを把握することが可能です。これは、特定の栄養素が過剰または不足しているかを簡単に確認でき、日々の栄養管理に役立ちます。平均値を用いることで、食事のバランスを取る際の基準を明確に設定できるため、メニューの改善や献立作成が効率的に進められます。また、異なる日や週のデータを比較し、食事の傾向や改善点を視覚的に把握するためのツールとしても優れています。栄養計算の手間を省きつつ、業務の正確さとスピードを向上させるため、栄養士の業務において必須の関数と言えるでしょう。
AVERAGE関数の使い方
=AVERAGE (範囲)
・選択範囲内の数字を平均した結果を表示する関数
・記入方法は範囲選択(例:A1:A100)でも、カンマ区切り(例:A1,B2,C3,…)でも可
1.平均を取りたいセルを【範囲】に入力します。
2.【範囲】で指定された数字の合計を、セルの個数で割った数が出力されます。
表③
表④
表③であれば、C2のセルに「=AVERAGE(B2:B6)」と入っているので「人参~しめじの使用量の平均を計算して」という指示になります。
エンターを押した後の表④では150/5=30と表示されます。
※150(g) = 人参30g+大根20g+キャベツ35g+もやし40g+しめじ25g
※5(個) = 人参①+大根②+キャベツ③+もやし④+しめじ⑤
VLOOKUP関数とは
検索キーとなるデータを元に、表の中からそのデータに該当する情報を探してくれる関数です。
栄養士がVLOOKUP関数を活用できる場面
「VLOOKUP関数」は、栄養士が多数の食材や栄養成分データを管理する際に、特定の情報を素早く引き出すのに非常に便利です。食材名を基に、その栄養成分やカロリー情報を自動的に表示できるため、手入力の手間を大幅に削減します。たとえば、献立作成時に食材リストからカロリーや栄養素を入力する場合、VLOOKUPを使用することで、一度に多くの情報を引き出し、栄養計算がスムーズに行えます。大規模な食材データベースや献立管理システムにおいても、この関数を活用すれば、各食材の情報を自動的に照合・抽出でき、ミスのリスクも減少します。さらに、VLOOKUPを使うことで、複数のシートにまたがるデータを管理できるため、特定のメニューや食材に関連する情報を簡単に検索・更新できる点が大きな利点です。
VLOOKUP関数の使い方
=vlookup (検索キー, 範囲, 列番号, FALSE)
例)=vlookup (E2, A2:C6, 3, FALSE)
検索キー:検索したい値を入れます。
範囲:検索する範囲を選択します(一番左の列に「検索キー」を含む検索される列を指定)
列番号:範囲の一番左の列を1として順に2,3,…と数えます。
検索方法:常に「False」と入力する。(「0」でもOK)
箇条書きではわかりにくいので、=vlookup (検索キー, 範囲, 列番号, FALSE)という式を日本語にすると...
【検索キー】と一致するものを【範囲】の一番左側の列から探して、見つかったらその【列番号】の数字分右に移動したセルに入っている情報を表示する。
になります。
表⑤
例に沿って解説すると、表⑤のE3に「=VLOOKUP(E2,A2:C6,3,FALSE)」と入っているので、「品名の中から【じゃがいも】と書いてあるセルを探して、左から【3】番目(カロリー)を表示させて」という意味になります。
なので、表⑤ではじゃがいものカロリーである【159】が表示されています。
VLOOKUP関数を使うときの注意点
1.検索キーは完全に一致する文字だけがヒットする
表⑤のE2に入っている「じゃがいも」を「ジャガイモ」や「ジャガイモ」と入力すると159(kcal)は表示されません。
2.列番号は一番左から数える
表⑤では【列番号】は3なので、1が品目(A列)、2が使用量(B列)、3がカロリー(C列)となり、カロリーが表示されます。
検索キーを含む品目(A列)から数える点を間違えないようにして下さい。
3.範囲の中に入る列番号でないと表示されない
例えば、表⑤の式を書く際に【範囲】を「A2:B6」とした場合、A~Bは2列しかないので【列番号】は2までしか入力できず、この場合カロリーは検索できません。
その場合の表は「=vlookup (E2, A2:B6, 2, FALSE)」となります。
4.列を挿入するとずれる
表⑥
表⑤のE3の式「=VLOOKUP(E2,A2:C6,3,FALSE)」のままで、表⑥のように使用量とカロリーの間に列を挿入すると、新たに空白のC列が現れます。
すると式は変更されずに「=VLOOKUP(E2,A2:C6,3,FALSE)」のままなので、【じゃがいも】から数えて右に3マスずれたセルである空白のC列が検索されて、0(空白)が表示されます。
栄養士がIF関数を活用できる場面
「IF関数」は、栄養士が条件に基づいて栄養計算を自動化できる強力なツールです。この関数を使うと、特定の条件に合致する場合とそうでない場合に異なる結果を表示させることができます。たとえば、カロリーが500kcalを超えた場合に「高カロリー」、それ未満の場合に「適正カロリー」と表示するように設定できます。これにより、カロリーや栄養素が特定の基準に達しているかどうかを自動的に判断し、メニューの改善がスムーズに行えるようになります。また、複数の条件を組み合わせることで、より複雑な栄養計算や、個別の食事指導にも応用可能です。IF関数を使えば、計算の過程で自動的に警告や判断を行えるため、業務効率を大幅に向上させることができます。栄養指導や献立作成の際に、判断基準を明確にできる点も、IF関数の大きな魅力です。
IF関数の使い方
=IF (論理式, 真の場合, 偽の場合)
例)=IF (C2>=100,"高カロリー","適正カロリー")
論理式:「はい(TRUE)」か「いいえ(FALSE)」に答えを分けられる式
真の場合:論理式が正しい場合に表示させることを指定します
偽の場合:論理式が間違っている場合に表示させることを指定します
こちらも箇条書きではわかりにくいので、=IF (論理式, 真の場合, 偽の場合)という式を日本語にすると...
【理論式】が正しければ【真の場合】を、間違っていれば【偽の場合】を表示する。
となります。
表⑦
例に沿って解説すると、表⑦のD2に「=IF (C2>=100,"高カロリー","適正カロリー")」と入っているので、「ごはんのカロリーが【100以上】であれば【高カロリー】と、そうでなければ【適正カロリー】と表示する。」という意味になります。
栄養士・管理栄養士として仕事復帰を目指す場合は、基礎学習に時間を割くよりは、限られた時間を有効に活用し、過去問を中心に実践的にこなすことが合格への近道です。
ごはんのカロリーは252で100以上なので、表⑦のD2には【高カロリー】と表示されています。
D3、D4の式にも同様にC2(ごはん)だった部分にC3(クロワッサン)、C4(かまぼこ)が入力されていますので、クロワッサンは178kcalで高カロリー、かまぼこは19kcalで適正カロリーと表示されています。
番外編 IFS関数の使い方
IFS関数は、IFの【論理式】の部分が複数あり、それに対応する【真の場合】も同数存在する式です。
=IFS (論理式①, 真の場合①, 論理式②, 真の場合②, 論理式③, 真の場合③,...)
例)=IFS (A1>=100,"高カロリー",A1>=50,"適正カロリー",A1<50,"カロリー不足")
論理式:「はい(TRUE)」か「いいえ(FALSE)」に答えを分けられる式
真の場合:論理式が正しい場合に表示させることを指定します
こちらも式を日本語にすると、
【理論式①】が正しければ【真の場合①】を、間違っていれば【理論式②】を計算して正しければ【真の場合②】を、間違っていれば【理論式③】を計算して正しければ【真の場合③】を、間違っていれば...を表示する
となります。
表⑧
例に沿って解説すると、表⑧のD2に「=IFS(C2>=100,"高カロリー",C2>=50,"適正カロリー",C2<50,"カロリー不足")」と入っているので、「ごはんのカロリーが【100以上】であれば【高カロリー】と、【50以上】であれば【適正カロリー】と、【50未満】であれば【低カロリー】と表示する。」という意味になります。
ごはんのカロリーは252で100以上なので、表のD2には【高カロリー】と表示されており、かまぼこのカロリーは19なので50未満の【低カロリー】、絹ごし豆腐はカロリーが56なので【適正カロリー】と表⑧のD列に表示されています。