
世界のユニークな食文化や美味しい料理をご紹介する新連載がスタートします。
記念すべき第1回目は、日本からも近くて旅行先としても大人気の台湾です。
ルーローハンや台湾カステラ、タピオカミルクティーなど、日本でもお馴染みの美味しいグルメがたくさんある台湾ですが、実はその食文化のベースには、ある素敵な考え方が深く根付いています。
それが、食べることは体を労ること、という医食同源の思想です。
今回は、台湾の人々が日常の中でどのように健康と食を結びつけているのか、その驚きの秘密を紐解きます。日本の家庭でも明日から真似できる健康のヒントが詰まっていますので、ぜひ最後まで楽しんでくださいね。
1. 一汁三菜じゃなくてもいい?台湾流のスマートな引き算スタイル
日本の健康的な食事といえば、ご飯に汁物、主菜と副菜を組み合わせた一汁三菜が基本ですよね。品数が多くバランスが良い反面、毎日毎食用意するのは少し大変なこともあります。
一方、台湾の食事スタイルを覗いてみると、実は驚くほどシンプルです。
街の食堂や屋台では、どんぶり飯や麺類に、燙青菜(タンチンツァイ)と呼ばれる茹で野菜の小皿を1つプラスするだけ、という1点、2点完結のスタイルが主流となっています。一見すると品数が少なくて栄養が偏りそうに見えますが、ここに伴う知恵が隠されています。
メインのどんぶり、例えばルーローハンなどには、生姜やニンニク、八角といった、体を温め代謝を促す薬味やスパイスがたっぷり使われています。そこに、ビタミンやミネラルが凝縮された緑黄色野菜の小皿を添えることで、必要最低限の栄養素を驚くほどスマートに補給しているのです。
何品もおかずを作るのは大変ですが、メインに薬味を効かせ、緑の野菜を1皿補えば、一汁三菜の形にこだわらなくても栄養バランスは十分に整います。忙しい日々の食卓にとっても、心がフッと軽くなるような、真似しやすい合理的な引き算スタイルです。
2. 台湾の朝は温かい豆乳から始まる!元気をチャージする朝食文化
台湾のもう一つの大きな特徴が、朝食を外の専門店や屋台で食べる朝食文化です。
そんな台湾の朝ごはんで、最も愛されている定番メニューが鹹豆漿(シェントウジャン)と呼ばれる温かい豆乳スープです。
お酢の入った器に、アツアツの無調整豆乳を注ぐことで、豆乳がまるでおぼろ豆腐のようにふわふわと固まります。そこに干しエビやネギ、ザーサイなどをトッピングして食べるのが台湾流です。
この朝ごはん、実は栄養学の視点からも理想的なメニューなのです。
- 良質な植物性タンパク質が豊富で、寝起きの胃腸に優しい
- お酢の酸味が消化液の分泌を促し、朝の食欲を自然に刺激する
- 温かいスープを一番に胃に入れることで、体温を上げて代謝を活性化させる
忙しい朝でもサラサラと食べられて、体に必要な栄養をしっかり補給できる。まさに朝一番から体を労る、医食同源を体現したようなメニューです。
3. 外食が多い台湾で根付く「お茶を飲む」食習慣
台湾は共働き世帯が多く、3食すべてを外食やテイクアウトで済ませる人も少なくありません。台湾料理には炭水化物や揚げ物も多く使われますが、食事と一緒に甘いジュースではなく、お茶を飲む習慣が広く根付いています。
特に日常的によく飲まれているのが、ウーロン茶やプーアル茶です。濃く淹れたウーロン茶には「ウーロン茶重合ポリフェノール」という成分が含まれており、食事由来の脂質の吸収を穏やかにしたり、食後の血糖値の上昇を緩やかにしたりする働きが報告されています。
もちろん、お茶だけで体重管理ができるわけではありませんが、砂糖入り飲料ではなく無糖のお茶を選ぶことは、余分な糖分やカロリーを抑えるうえでも理にかなった習慣です。
外食やテイクアウトが多い日でも、ジュースや炭酸飲料ではなく温かいウーロン茶やプーアル茶を選ぶ。このような日々の小さな積み重ねは、健康的な食生活を続けるためのポイントといえるでしょう。
4. 日常の中に溶け込む漢方と、季節に応じた食の衣替え
台湾では、特別な薬としてではなく、毎日の食事の延長線上に漢方やハーブが存在しています。
スーパーには家庭用のスープ用漢方ブレンドパックが普通に売られており、鶏肉などと一緒に煮込むだけで、体に優しい薬膳スープが日常的に作られています。
さらに面白いのが、季節の変わり目に食材をガラリと変える、食の衣替えの意識です。
- 暑い季節:体にこもった熱を逃がす、緑豆や冬瓜、ハトムギを使ったスイーツ、豆花などを食べる
- 寒い季節:体温を上げて免疫力を高める、生姜や羊肉をたっぷり使ったスープを飲む
四季のある日本でも、この意識は非常に役立ちます。例えば、夏バテ気味のときは夏野菜で体にこもった熱を逃がし、寒くなる季節には根菜類や生姜で温める。季節の変わり目の不調を防ぐために、台湾のこの衣替えの知恵をぜひ参考にしたいものです。
5. まとめ:体への思いやりが詰まった台湾の食
いかがでしたでしょうか?
台湾の食文化の魅力は、単に美味しいだけでなく、食べる人の体への思いやりが常にベースにあることです。毎日食べるものが、明日の自分自身の体を作っていく。そんな大切なことを、台湾の食卓は教えてくれます。
皆さんもぜひ、いつもの食事の中に、温かいお茶を合わせる、緑の野菜を1皿足す、といった体に優しい工夫をひとつ、取り入れてみてくださいね。
次回の世界食文化紀行もお楽しみに!
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