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育児休暇を取得中の方のなかには、時短勤務で職場復帰を目指す際、保育園に入れるかどうか不安な方もいるでしょう。そこで今回は、時短勤務での保育園入園の可否について「保育の必要性」をもとに解説します。保育園入園の審査基準や、時短勤務で保活を成功させるポイントもまとめました。入園が叶わなかった場合の対処法や、よくある疑問も解説しているので、保活を成功させ仕事復帰をしたい方は、ぜひご一読ください。
【結論】保育園には時短勤務でも入園できるのか
時短勤務でも保育園に入園することは、原則可能です。こども家庭庁が提示する以下の「保育を必要とする事由(※1)」のいずれかに該当するか、まずは確認しましょう。
・就労
・妊娠・出産
・保護者の疾病・障害
・同居または長期入院等している親族の介護・看護
・災害復旧
・起業準備を含む求職活動
・職業訓練を含む就学
・虐待やDVのおそれ
・育児休業取得中に、すでに保育を利用している子どもがおり継続利用が必要
・その他市町村が認める場合
時短勤務は「就労」に該当しているため、保育園への入園が認められています。
保育園の定員と地域ごとの影響
時短勤務でも保育園の利用は原則可能ですが、希望したタイミングで入園できるとは限りません。保育園にはそれぞれ定員が設けられているため、希望者が多い場合、入園できないケースがあります。
なお、こども家庭庁が発表した「保育所等関連状況取りまとめ(※2)」によると、2024年4月1日時点での待機児童数は、2,567人で、前年より113人減少しました。また、待機児童数が100人以上の地区町村ケースには、全国で2市が該当しています。
待機児童の問題については、保育の受け皿拡大に力を入れるなど、国を挙げて対策を行っています。一方、保育士不足や利用者の増加により利用定員が足りていない地域があるのも事実です。
最低限の就労時間数を満たす必要性
多くの自治体では、保育園利用の条件として、就労時間の基準を設けています。就労時間の基準は、月48時間以上や64時間以上など、市区町村によってさまざまです。各自治体で決められた就労時間を超えない場合、その地域での保育園利用はできません。
また、就労時間は保育を受けられる時間にも影響をします。というのも、市区町村によって、就労時間に応じて保育時間が異なる場合があるからです。なお、認可保育園では、就労時間が月120時間を超えるかどうかで、保育時間が変わります。
時短勤務による就労スコアへの影響
保育園入園の可否は、保護者や家庭の状況を指数化した点数により左右されます。両親がフルタイム勤務だったり、養育が困難と認められたりした場合、点数が高くなり、保育園入園の優先順位が上がる可能性があります。そのため、同じ条件下では、時短勤務のほうがフルタイム勤務に比べて不利になることもあるでしょう。
ただし、就労時間が長くても両親以外に同居している家族がいることや、自営業であることが減点の対象となり入園の優先順位が下がるケースもあります。また、同居している親族がいる場合も減点の対象になることがあります。もし同居している親族が就労しているなら、就労証明書などを提出するケースもあるので事前に確認しておきましょう。
ライフステージや家庭環境に合わせた選び方
子どもが小学生になるまでは成長過程をそばで見守りながら生活したい、という場合は出勤時間の融通が利くパート勤務で、保育園に入園させても問題がなさそう、もしくは近くに住む両親に預けられる場合はフルタイムで働く、という選び方をしても良いかもしれません。
地域の保育園の過去の選考実績を確認する
まずは、保育園ごとに入園可能かどうかを各地域の自治体で確認することが重要です。年齢ごとの倍率や過去の応募人数について問い合わせてみましょう。また、入園できた家庭の申請条件を確認しておくこともポイントです。
保育園見学とママ友ネットワークの活用
保育園を見学し、先生に直接尋ねるのも一つの手です。また、フルタイムと時短勤務、パートなど、どのような家庭が多いかといったことは、お迎えの時間が集中する時間帯や延長保育の充実度がヒントになります。
さらに、子育て支援センターなどの利用時に、職員やほかの保護者から保育園に関する情報を得られることもあるため、アンテナを張っておきましょう。
事前に職場の育休制度を調査する
育児休暇を長期間取得できれば、保育園入園に際し、十分な準備ができます。また、地域によっては0・1歳クラスより2・3歳クラスに空きがある場合も。事前に職場の育休制度を確認し、保活の計画を立てることが大切です。
まずはパートから始めて徐々に働き方を変える
まずはパートなど働く時間の調整がしやすい業務形態を選ぶと、育児と仕事の両立が図りやすいでしょう。いきなり正社員で復帰するよりも、育児と仕事の両立に少しずつ慣れていけて安心です。
認可外保育園の利用を検討する
認可保育園に入れないケースを考え、認可外保育園にも視野を広げておきましょう。認可保育園に落ちても、認可外保育園に入園し、希望の園に空きが出たら転園する方法もあります。
また、認可外保育園に在園している場合、次回の認可保育園募集時に加点対象となる可能性があります。認可外保育園を検討することは、保活に有利に働くでしょう。
育休延長や家族のサポートを活用する
育児・介護休業法(※3)では、育休期間は子どもが1歳になるまでが原則です。しかし、保育園に入れなかった場合は、子どもが1歳6ヶ月まで、さらに必要ならば2歳まで期間を延ばせます。育休期間を延長し、子育てしながら預け先を探すと良いでしょう。
そのほか、実家・義実家のサポートや、パートナーの育休取得を検討するという方法もあります。
時短勤務だと保育園に不利になるのか?
法律上、時短勤務は子どもが3歳になるまで(会社によっては子どもが小学校に入学するまで)利用可能な制度です(※4)。そのため、時短勤務が必ずしも保育園入園に不利になるわけではありません。ただし、就労時間が入園に影響するどうかは市区町村によって異なるため、点数制度について自治体に問い合わせておきましょう。
入園後に時短勤務→フルタイム勤務は可能?
入園後に時短勤務からフルタイムに変更することは可能です。ただし、保育園側で延長保育の人員調整が必要になる場合もあります。変更する際は、会社だけでなく保育園にも早めに相談するのが無難です。
また、同じフルタイム勤務でも、通勤時間のないテレワークを活用すれば、負担を軽減しながら収入アップにつなげられます。時短勤務からフルタイム勤務へ変更したいと考えている方はテレワークを視野に入れるのも良いでしょう。
パート勤務者は時短勤務者と比べて不利?
「パート勤務」「正社員の時短勤務」のように、雇用形態の違いが保育園への入園しやすさに影響することはないでしょう。重要なのは、就労時間です。就労時間が短いことで入園が不利になる市区町村もあれば、規定を満たしていれば評価が変わらない自治体もあります。まずは、市区町村に条件等を確認しましょう。
時短勤務で保育園に入るためには充分なリサーチがカギ
時短勤務でも保育園への入園は可能です。ただし、何をもって保育の必要性を判断するかは、自治体によって異なります。審査基準を自治体に問い合わせたり、保育園の見学へ行ったりと、事前にしっかりリサーチすることが、保活成功のカギです。また、認可保育園だけでなく、認可外保育園も検討の余地があります。育休を上手に利用しながら、保育園入園と仕事復帰を目指しましょう。
【出典】
※1こども家庭庁「よくわかる「子ども・子育て支援新制度」」
https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/sukusuku
※2こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和6年4月1日)」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/4ddf7d00-3f9a-4435-93a4-8e6c204db16c/82ad22fe/20240829_policies_hoiku_torimatome_r6_02.pdf
※3・4厚生労働省「育児・介護休業法の概要」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/02_jp.pdf