はじめに
10月に入ると、スーパーの野菜売り場に並ぶ顔ぶれも秋めいてきます。葉物野菜や根菜類の出荷が増えてくる一方で、天候の影響で「価格がまだ高い…」という印象を持つ方も多いでしょう。野菜の価格は、夏の猛暑や台風の影響を引きずりながら、10月にかけて落ち着き始めることが多いものの、地域や品目によっては値の変動が残ります。
栄養バランスを考えた献立づくりをする栄養士や、日々の食卓で節約を意識したい主婦にとって、「この野菜は今買いなのか?」「あと一か月で価格はどうなる?」という疑問は非常に身近です。本記事では、2025年10月の野菜価格動向を詳しく解説します。変動する相場に惑わされず、賢く新鮮な野菜を選ぶための参考にしてください。
主要な野菜の価格の見通し(2025年10月編)
農林水産省の公表資料を参考に、2025年10月の主要な野菜の価格見通しをまとめました。
だいこん(主産地:青森 34%、北海道 30%、千葉 22%)
見通し:やや平年を上回って推移
理由:北海道・青森・千葉の出荷が増加する一方、夏の高温で生育不良や歩留まり低下が残存。北海道産は回復傾向だが全体出荷はやや少なめ。
にんじん(主産地:北海道 91%)
見通し:平年並みで推移
理由:高温・干ばつ・その後の降雨の影響はあるものの、大幅な出荷減は見込まれず数量・価格ともにおおむね平年並み。
はくさい(主産地:長野 84%)
見通し:やや平年を上回って推移
理由:7月下旬の降雨と高温による生育不良の影響で、出荷数量はやや平年を下回る見込み。
キャベツ(主産地:群馬 68%、岩手 13%)
見通し:平年並みで推移
理由:主産地の生育は概ね順調。数量・価格ともに平年並み。
ほうれん草(主産地:群馬 57%、茨城 17%、栃木 16%)
見通し:10月前半:やや平年を上回る/10月後半:平年並み
理由:夏の高温で一時的に生育不良があったが回復傾向。前半は出荷やや少なく高め、後半は平年並みに戻る見込み。
ねぎ(主産地:北海道 22%、秋田 22%、青森 18%)
見通し:10月前半:やや平年を上回る/10月後半:平年並み
理由:北海道は概ね順調。秋田・青森は高温と降雨の影響で歩留まり低下。後半にかけて平準化。
レタス(主産地:茨城 62%、長野 26%)
見通し:平年並みで推移
理由:出荷が長野中心から茨城中心に切替。8月高温や7月末の降雨の影響は9月の適度な降雨で回復傾向。
きゅうり(主産地:群馬 28%、埼玉 23%、福島 11%)
見通し:やや平年を上回って推移
理由:福島は減少、群馬・埼玉は増加。ただし夏の高温影響で歩留まり低下が残り、全体数量はやや少なめ。
なす(主産地:高知 34%、群馬 23%、栃木 17%、茨城 13%)
見通し:平年並みで推移
理由:高知の出荷が増加。関東の主産地は回復傾向で、大幅な減少は見込まず。
トマト(主産地:千葉 16%、熊本 14%、北海道 13%、福島 12%)
見通し:平年を上回って推移
理由:北海道・福島・千葉は高温による着果不良、熊本は豪雨で定植遅れ。数量減で高め推移。
ピーマン(主産地:茨城 52%、岩手 26%)
見通し:やや平年を上回って推移
理由:夏の暑さの影響で出荷はやや少なめとなる見込み。
じゃがいも(主産地:北海道 100%)
見通し:やや平年を上回って推移
理由:高温・干ばつ影響で小玉傾向。数量やや少なめで価格はやや高め。
さといも(主産地:埼玉 73%、千葉 10%)
見通し:やや平年を上回って推移
理由:生育は概ね順調。ただし千葉は次期作の種いも確保のため出荷控えめ。
たまねぎ(主産地:北海道 98%)
見通し:平年を上回って推移
理由:高温・干ばつで小玉傾向。春先までの安定供給に向け計画出荷のため、10月の数量は少なめで高め推移。
ブロッコリー(主産地:北海道 45%、長野 18%、埼玉 18%)
見通し:10月前半:平年並み/10月後半:平年を下回る
理由:北海道・長野に加え、中旬以降は埼玉も本格出荷。気温低下で回復し、後半は数量増で価格安めに。
【価格が上昇する見通しの野菜と代替食材】
- 大根 → カブ(食感が似ており、煮物やサラダに活用可能)
- 白菜 → キャベツ・レタス(鍋やスープのかさ増しに、サラダでも代用しやすい)
- ほうれん草 → 小松菜・チンゲン菜(おひたしや炒め物に代用可能)
- ねぎ → 玉ねぎ・にら(薬味や炒め物で風味を補える)
- きゅうり → ズッキーニ(サラダや漬物で代用可能)
- トマト → パプリカ・ミニトマト(彩りや酸味をプラス)
- ピーマン → パプリカ・ししとう(炒め物や肉詰めに活用可能)
- じゃがいも → さつまいも・かぼちゃ(煮物やポタージュの代替。甘みで食べ応えUP)
- さといも → 長いも(煮物や汁物で代用可能)
- たまねぎ → 長ねぎ・ポロねぎ(炒め物やスープのベースに)
価格が上がりやすい品目は、献立の使用頻度を調整し、上記の代替食材を取り入れると節約に効果的です。
【価格が下落・安定している野菜の簡単レシピ】
今回は平年を下回る見通しの野菜が少ないため、平年並みで安定している野菜を活用した簡単レシピを紹介します。
レシピ① にんじんとキャベツのコールスロー風サラダ
材料(2人分)
- にんじん 1/2本(千切り)
- キャベツ 2枚(千切り)
- レタス 2枚(ちぎる)
- マヨネーズ 大さじ2
- 酢 小さじ1
- 塩・こしょう 少々
作り方
- にんじんとキャベツは千切りにし、塩を軽くふって5分置き、水気を絞る。
- レタスは食べやすい大きさにちぎる。
- ボウルに野菜を入れ、マヨネーズ・酢・塩こしょうで和える。
ポイント:シャキシャキ食感と酸味でさっぱり。お弁当や作り置きにぴったり。
レシピ② なすとブロッコリーのごま味噌炒め
材料(2人分)
- なす 2本(乱切り)
- ブロッコリー 1/2株(小房に分けて下ゆで)
- サラダ油 大さじ1
- 味噌 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
- 白ごま 大さじ1
作り方
- フライパンに油を熱し、なすを炒める。
- なすに火が通ったらブロッコリーを加える。
- 味噌・みりん・砂糖を合わせた調味料を入れて炒め、最後に白ごまをまぶす。
ポイント:味噌とごまの香ばしさでご飯が進む。冷めてもおいしくお弁当にも◎。
レシピ③ ブロッコリーとにんじんの卵スープ
材料(2人分)
- ブロッコリー 1/2株(小房)
- にんじん 1/3本(薄切り)
- 卵 1個
- 水 400ml
- 中華スープの素 小さじ2
- 塩・こしょう 少々
作り方
- 鍋に水とスープの素を入れ、にんじんを加えて柔らかくなるまで煮る。
- ブロッコリーを加えて2〜3分煮る。
- 溶き卵を回し入れ、ふんわり固まったら塩こしょうで味を整える。
ポイント:野菜の栄養を一杯で。朝食や軽い夕食にぴったり。
賢く選んで秋野菜をおいしく取り入れよう
2025年10月は、各地で朝晩の冷え込みが進み、秋野菜の出荷が本格化しています。夏の高温や干ばつの影響が残る品目もある一方で、全体としては生育が回復し、価格はおおむね落ち着いた推移となっています。
一部でやや高値が続く野菜は、代用食材や保存のきく根菜類を上手に活用するのがおすすめ。一方で、旬を迎えたきのこ類や葉物野菜は、価格も安定しやすく、日々の献立に取り入れやすい時期です。
食卓に秋の彩りを添えながら、栄養バランスと節約を両立できるメニューづくりを意識してみましょう。これからも季節ごとの価格動向をチェックしながら、無理なく続けられる“おいしい秋の食生活”を楽しんでください。
参考文献
- 農林水産省. (2025). 野菜の生育状況及び価格見通し(令和7年10月). 2025年10月2日閲覧. https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/engei/250930.html