舩木 龍一
年に一度の健康診断。結果が届いたとき、「ひと通り見たけれど、結局いつもと同じ生活に戻っている」という方も多いのではないでしょうか。
忙しい毎日の中で、健康診断の数値とじっくり向き合う時間を取るのは、意外と難しいものです。
特に育児や家事、仕事を同時にこなしている時期は、自分の体調管理が後回しになりがちです。「少し気になる数値はあるけれど、すぐにどうこうするほどではないかな」と感じて、そのままにしてしまうケースも少なくありません。
しかし健康診断の結果は、生活を責めるためのものではなく、これからの食生活を整えるためのヒントでもあります。数値の意味を知り、無理のない範囲で向き合うことで、日々の食事はぐっと楽になります。
この記事では、管理栄養士の視点から、健康診断の結果と食生活をどう結びつけて考えればよいのか、そして「続けられる改善」のヒントをお伝えします。
健康診断の数値が思わしくなかったとき、「体質だから仕方ない」「年齢のせいかも」と感じる方も少なくありません。
しかし管理栄養士として多くの相談を受ける中で、数値が悪化しやすい人には、ある程度共通した生活パターンが見られます。
これらは一つひとつを見ると小さなことですが、積み重なることで健康診断の数値に影響しやすくなります。
「何を食べたか」だけでなく、「どんな生活リズムだったか」を振り返ることが、改善の第一歩です。
血糖値やHbA1cの数値は、「甘いものを控えなければ」と思われがちですが、実際には食事全体のリズムが大きく関係しています。
脂質の数値が気になると、「油を全部控えよう」と考えてしまいがちですが、完全に避ける必要はありません。
外食や飲酒の機会が多い方は、肝機能の数値に影響が出やすい傾向があります。
「最初は気をつけたけれど、いつの間にか元に戻っていた」――これはよくある声です。
数値改善が続かない理由の多くは、完璧を目指しすぎてしまうことにあります。
大切なのは、「7割できていればOK」という考え方。
できなかった日があっても、また戻せばいい。続けられる工夫こそが、数値改善につながります。
基準値だけで判断せず、前年との変化を見ることが大切です。
「夜食を少し減らす」「朝に何か一口食べる」など、小さな行動から始めましょう。
管理栄養士や医療機関への相談は、決して大げさなことではありません。
Q. 数値が少し高いだけでも改善した方がいい?
A. 軽度のうちに生活を整えることで、大きな変化を防ぎやすくなります。
Q. 忙しくて食事改善ができません
A. 完璧を目指さず、「できるところから」で十分です。
健康診断の結果は、体を責めるためのものではなく、今の生活を見直すヒントです。
無理のない食生活の工夫を重ねることで、数値も気持ちも少しずつ整っていきます。
管理栄養士・栄養士として培った視点は、家庭だけでなく、誰かの健康を支える力になります。
「クックリィ」では、食を通じて人を支える働き方や、復職・学び直しに役立つ情報も発信しています。
ぜひ他の記事も参考にしながら、これからの暮らしとキャリアを考えてみてください。